ヴェイパーウェイヴ

[序]

 最近、ヴェイパーウェイヴ - Wikipediaに凝っている。テクノである。紹介させて欲しい。パンクバンドのブログ記事で音楽紹介を初めて真っ先に挙げるジャンルではないし、このブログを見ている大半の人には興味のないジャンルだろうとは思う。だけど、そこはまぁ許して欲しい。僕はパンクバンドのギタリストであると同時に音楽ナードなのでロック、パンクに限定して音楽を紹介するのは窮屈だから。だけど、専門から外れた音楽ファンにも楽しんでもらえるよう努力はする。

 

[ヴェイパーウェイヴとは] 

 上記のWikiのリンクを見ていただければ概要はわかるだろうと思われるので詳細は省く。正直なところwikiに書いてある以上の情報は知らない。いわゆるポストチルウェーヴ - Wikipediaといったところだろうか。チルウェーヴのノスタルジックな電子音やラウンジミュージックから発展し、cmやVHSのサウンドトラックまでを吸収して形成されている。大量消費社会の幻想に対するノスタルジックもしくはイロニーを込めた音楽である。

 

[経緯]

 工員だった頃、勤め先の工場にテクノジャンキーの先輩がいた。デトロイトテクノ全盛のアメリカ(もっとも住んでいたのは西海岸の方面だった筈だが)に住んでいただけあってものすごく精通していて、有名になる前のポール・ヴァン・ダイク - Wikipediaと握手を交わしたのともある人だった。

 僕も曲がりなりにもテクノ好きだったから先輩とは出会ったその日に意気投合して、先輩からテクノのCDをたくさん貸りるようになった。特にゴアテクノとかトランスの方をよく聞いていた気がする。いろいろと聞いていくうちに最近のクラブミュージック動向が気になりだして、そのうち自分でも調べて聞くようになった。

 

 そんな時期にYoutubeサーフィンをしていて偶然見つけたのがMACKINTOSH PLUSとBlank Bansheeだった。衝撃的だったのを覚えている。僕のテクノ・ハウスの見識は00年代初頭で止まっていたからだ。これが僕とヴェイパーウェイヴの最初の出会いだった。もっともあのとき、この二枚のアルバムをネットで検索したところで詳細な情報が載っている記事は(英字のwikiでさえ)ほとんどなかったのでヴェイパーウェイヴという言葉は知れずじまいだった。それから間もないうちに僕の精神状態が悪化していくようになり、テクノやハウスからは遠のいていった。

 

 時は流れてそれから3年後(つい先月のことだが)、Youtubeサーフィンをしていたらヴェイパーウェイヴと名が打たれたミックストラックと出会った。大友克洋のMEMORIESの画像につられてリンクを押したのである。二度目の衝撃だった。日本の80年代のcmを見返した時のような言いようのない郷愁感を感じた。製作者もYoutubeのコメントも英語圏の人しかいない事が気になった。それから色々と調べて行くうちに、気づけばどっぷりと浸かってしまっていたというわけである。

 

[紹介]

 と、前文が長くなってしまったがここで僕が最近聞いているヴェイパーウェイヴのアルバムを紹介させて頂きたいと思う。

 

 ファンク色が強いものからPCのBGMまで、日本のニュウェーヴ、AORマイケル・ジャクソンを初めとする80年代的R&Bからユーロ色の強いディスコ、なんでもサンプリングしてしまう。音色がものすごく古いのに、ものすごくノレる。

 

 日本の90年代(?)のコカ・コーラのcmをずっと見ながら聞いているとトリップしてくる。

 

 wikiではヴェイパー・ウェイヴの古典と書かれている。日本色は薄く、古いコンピューターサウンドで構成されている。チルウェーヴからの流れを感じられる。

 

 古いトラックにくわえて音が厚く重ねたペタペタした印象を持つものが多い中、音がシンプルで安定していて心地いい。このアルバム自体は従兄弟と同居時代していた頃から知っていたが心の琴線に触れることがなかったので忘れていた。今聞き直すととてもいい。山下達郎がサンプリングされている。Sant PepsiはPVも気味が悪くて面白い。

 

  マクロスとはあのマクロスだろう。今海外でのマクロスの評価を調べたところマクロスは海外ではロボテックという名で他のタツノコプロのロボットアニメと話を混ぜ合わせて放映されていたそうである。マクロスの".愛おぼえていますか"はAKIRAと並んで日本の手書き作画の全盛期を象徴するものだったに違いない。すべて分かった上でのこのアーティスト名なのではないだろうか(深読みか)。

 

 フランスから。ジャケットを見ての通り深夜の雰囲気を感じさせる。叙情的で尚且つクールなムードが漂っている。クラシカルまたはジャジーな雰囲気がたまらない。

 

 日本人でヴェイパーウェイヴを実践している人はいる。それはVIDEOTAPEMUSIC氏、彼一人かもしれない(僕の知らないだけかもしれないが)。彼は様々なVHSのサウンドトラックをつなぎ合わせて曲を作っている。7泊8日も従兄弟と同居時代から知っていたのだが、何故か新しい音楽の流れという認識をあまり感じていなかった。最近CEROと共演したライブをYoutubeで見たがやっぱり面白かった。

 

[関係のない話]

 ちょっと前におそらくとんかつDJアゲ太郎の影響で”チルってる”とかいう言葉が流行った(僕自身はエモいに次いでキモいと思っていた)。僕は”チル”とはKLFのチルアウトの認識だったのだが、ネットを歩くとバンドサウンドに対してチルってると表する人間がいるではないか。ずっと何言ってんだコイツと思っていたのだが今考えるとチルってるとはチルウェーヴのチルだったのだろうか。今になってはどうでもいいが。

 

渡部夏樹